背景画像

ティラノサウルス [恐竜図鑑]

ティラノサウルス
Tyrannosaurus

ティラノサウルスの画像
ティラノサウルスの画像2
科名
ティラノサウルス科
分類
獣脚類(竜盤類、獣脚亜目、テヌタラ類)
生息地(発見地)
北米(アメリカ)
時代
7000万~6600万年前(白亜紀後期)
全長
約12m
体重
4~7トン
食べ物
繁殖形態
人との比較
ティラノサウルスと人
解説
ティラノサウルスは最も多くの人に知られている肉食恐竜だと思われますが、その生態については現在でも研究が続いており、最初に化石が発見された約100年前のイメージとは大きく異なってきています。
例えば、以前はティラノサウルスも現在の肉食動物のように獲物を追いかけてハントしていたと考えられていましたが、現在ではティラノサウルスの巨体では肉体の構造的に走る事は難しいとの結論に達した為、追いかけるのではなく、待ち伏せ型の肉食動物であったのではないかという説が有力になってきました。
※最新の研究ではティラノサウルスの最高時速は27km程度だったのではないかと言われています。

しかし、強力な顎の威力に関しては現在でもその評価が変わる事はなく、これまでに肉食恐竜の細かく砕かれた骨の混じったティラノサウルスの糞なども見つかっており、このような証拠がティラノサウルスの噛む力が強かった事を示しています。
また、トリケラトプスなどの大型の草食恐竜の骨でさえもバリバリと砕いて食べてしまうほど噛む力が強かったとされています。
※人の男性の噛む力の平均は261ニュートン、女性は173ニュートンと言われていますがティラノサウルスの噛む力は35000~57000ニュートンだったと予測されており、まさに桁違いの咬合力があったと言われています。
体の特徴
ティラノサウルスの体の特徴は約1.5mに及ぶ巨大な頭部と最も長いものだと30cmほどに成長する大きな歯が代表的ですが他の肉食恐竜と比べても脳がかなり大きかった事も分かっています。また、ティラノサウルスの脳はただ大きいだけではなく獲物を見つけるのにも役立つ嗅覚を司る部分も発達していました。

ティラノサウルスは大きな頭部と比較するとあまりに小さな前肢をもっていますが、この前肢は短すぎてもう片方の前肢に触れる事すら出来なかったようです。
しかし、この小さな前肢にもある程度の力が備わっていたと推測されており、獲物の動きを封じたりする役目を果たしていたのではないかと考えられています。
多くの肉食恐竜の歯は肉を切り裂く為にギザギザがついていましたがティラノサウルスの歯は大きく、そして鋭く尖っていたので体の大きな恐竜の分厚い皮膚や筋肉を貫き、骨にまで到達していたと言われており、その痕跡も化石に残されています。

前肢と比較すると非常に大きく力強い後肢に関してはその大きな骨格から大きな筋肉が備わっていたと推測されており、巨大な体を2本の後肢のみで支えるには十分なサイズであったようです。
以前はゴジラのようにしっぽを引きずったような姿勢で描かれる事もあったティラノサウルスですが現在では歩行の際は後肢のみで全体重を支え、しっぽは宙に浮いていたという説が有力になっています。

視覚的な能力に関しても両目がやや前向きに付いている事から人間や現在の多くの肉食動物のように立体視を可能にしていたのではないかと言われています。
また、最近の研究では幼体だけでなく、成長した個体も羽毛を持っていた可能性があると言われていますが、この説については現在の所、あまり信ぴょう性はないようです。(下に羽毛を持ったティラノサウルスの画像を掲載しています)
ティラノサウルスの幼体
卵から産まれたばかりの ティラノサウルスの赤ちゃんは小型犬のチワワほどのサイズであったと2020年の10月中旬にオンラインで開催された古脊椎動物学会の年次総会で発表されました。

これは現在の大型動物であるアフリカゾウの幼体などと比べるとかなり小さく、アフリカゾウの幼体の体高が成体の象の1/4程度である事に対して、ティラノサウルスの幼体の体長は1/10程度であった事になります。

今回、幼体の詳細な大きさがわかった理由は卵の殻に守られて発達の途中だったと考えられる小さな化石が発見された事によります。
ティラノサウルスの卵の化石は2020年現在、発見された事はありませんが今回の発見によってティラノサウルスの卵は40cm程度であったのではないかと推測されています。
羽毛ティラノサウルス
羽毛ティラノサウルス
ティラノサウルスの化石
ティラノサウルスの化石
ティラノサウルスの化石はこれまでに数十体が見つかっていますが、完全なものはひとつもないようです。また、見つかった化石の中には産まれたばかりと思われる個体もあり、幼児期のティラノサウルスの皮膚にはやわらかい羽毛の痕跡が見つかったと言われています。

アメリカ合衆国内のシカゴのフィールド博物館内では「スー」と呼ばれているティラノサウルスの見事な全身骨格標本を見る事ができますが、このスーは史上最も高価な恐竜の骨格標本としても知られており、1997年にニューヨークで開催されたサザビーズのオークションで8,400,000ドル(日本円で約9億円)という高値で落札されています。
関連ページ