恐竜の化石
化石とは大昔の動植物の死骸や痕跡が保存されたものを指し、化石を意味する英語の「fossil」とはラテン語で「掘り出す」という意味の言葉である「fonssilis」からきています。その名前の意味の通り、通常は掘り出して発見するのが化石です。
恐竜の化石は恐竜の研究において欠かせないもので化石の発見なくして恐竜の研究は始まりません。しかし、死体は他の生物に食べられたり、風雨によってボロボロになって朽ちていき何も残らないケースが殆どです。このような条件の下で化石となって現代に残っているというのは非常に稀な例で、特に全身骨格が残っているものは大変、貴重な研究材料となっています。
恐竜の全貌を子供にも分かる形であらわす事ができるのも化石の良い所であり、恐竜の巨大な化石を見た事によって恐竜に興味を持った方も多い事でしょう。
恐竜の死体が化石になる為の条件としては死後すぐに土中に埋没する事が重要で、その上で粒の細かい土砂に覆われた死体だけが保存状態の良い化石になる可能性を持ちます。
また、骨が生きていた時と同じ配列のまま残っている化石を「関節状態の化石」と呼びます。このような化石からは通常の化石よりも非常に多くの情報が得られ、関節の可動域や怪我や病気などについても調べる事ができます。
尚、化石についてはいくら保存状態の良いものが残っていても地中深くに潜り込んでしまったものは殆ど発見される事はない為、発見された化石は地球内部の運動で地表付近まで運ばれたものが多いと言われています。
また、何らかのきっかけで恐竜の化石が地表に露出した際にも素早く発見する事ができなければ、約一年ほどで風化して形がなくなってしまう事が殆どです。
化石の形成
通常、動物の死骸は清掃動物に分解されてしまい、殆ど何も残りませんが体の硬い部分が化石として長い間残るケースがあります。化石化するには動物を清掃してしまう生物のいない場所でなるべくはやく砂や泥などに埋まる必要があります。
化石になるにはこのような条件がある為、現在残っている恐竜の化石の多くは泥にはまりこんで死んだり、何らかの理由で川の中で死んだり、砂嵐などが原因で死骸がすぐに砂の中に埋もれるなどしたものが殆どです。
地球の長い歴史の中ではこのような化石になりやすい特殊な条件が揃いやすかった時代というとものがあり、そのような時代では生物の化石が多く残る傾向があります。
恐竜の体の中でも化石として残りやすいのは硬い部分であり、骨、歯、殻などが特に化石化しやすいとされています。その中でも歯の化石は特に多く発見されています。
更に死骸が化石になって保存される為には岩の中にある死骸が酸性の水に侵される事によって溶け、死骸のあった空間に新しい鉱物が流れ込んで死骸の複製が作られる必要があります。
また、死骸だけでなく、動物の足跡や這った跡、なんらかの理由で掘った穴なども化石になる事があり、このような生痕化石(せいこんかせき)も生物の研究を行う上で重要なてがかりとなります。
価値の高い化石
恐竜の化石が生きていた時と同じ配列でつながった状態で発見されたものを「関節状態の化石」と言い、これは骨格の正確な構造、関節の可動域、怪我や病気などについてまで詳しく調べられる為、価値の高いものです。
完全骨格の化石と共にその場所にいた他の動物や近くに生えていた植物などが一緒に見つかる事がありますが、このようなケースでは見つかった完全骨格の恐竜の生活についての多くの情報を提供してくれる可能性が高いので大変、価値のあるものだとされています。
このような状態で見つかった化石を生体群衆(せいたいぐんしゅう)と言い、発見されれば恐竜の研究が大きく進む事もあります。
肉食恐竜に噛みつかれた跡や噛みついた際に折れた歯などが見つかる事もあり、そのようなものが発見されれば、その恐竜がどの肉食恐竜と争っていたかを知る事ができます。
肉食恐竜の中には同種の恐竜に噛みつかれた跡なども見つかっており、同種の恐竜であっても激しく争っていた証拠となっています。
化石の保存状態が良い場合は化石の胃の辺りに最後の食事が化石となって見つかる事もあります。胃の中の内容物が特定できればその恐竜が何を食べていたかを知る手がかりとなります。
化石のクリーニング
恐竜の化石は展示や研究の材料にする前に修復作業やクリーニング作業を行う必要があります。この作業は地味ですが傷をつけないように細心の注意を払う必要があり、専門家の重要な仕事となっています。
発掘されたばかりの化石は多くの岩石に覆われていますがこの岩石をノミや鋸、ハンマーなどを使って丁寧に取り除いていきます。
また、この岩石を取り除く方法については細かい砂粒を吹き付けて岩石を削って取り除く方法や酸を使って岩石を溶かすという方法もあります。
岩石を取り除いた後は化石が壊れないように特殊な接着剤やプラスチックなどを化石に染み込ませていき、永久保存が可能な状態にします。
化石の最終的な仕上げは顕微鏡を使って行われ、特殊なドリルや圧縮空気を吹き付ける機械など様々な機器を使って化石をできるだけ最良な状態に近づけていきます。
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